第6話 祭の夜に (2) [△ ▽]

「あ!!」
 神社の境内へと登ってきたシーバリウを見つけて、ジャージが声を上げる。
「シーバリウ、大丈夫なの!?」
「はい、大丈夫です。おみこしの方はどうです?」
 ジャージはむっとして、シーバリウをぽかりと叩く。
「??」
「あんた、もっと自分のこと心配しなさいよ。うめにもそう言われなかった?」
「言われました……」
「おみこしの方は大丈夫。シート被せてそこに置いてある」
 青いシートが被せられた何かが、そこにはあった。
「あれが……」
「見るのは明日のお楽しみにしておきなさい。……本当に大丈夫なんだよね。魔法力残ってないんでしょ?」
「いえ、残ってます」
「へ?」
「あのくらいの魔法ならあと何回か唱えられます。気を失ってしまったのは、あの時、強い魔法を掛けたので体への負荷が強かったからなんです」
「そんなに強い魔法だったの?」
「うめさんの状況が掴めませんでしたから、回復魔法の中ではかなり強力な魔法を使いました。元気な状態に巻き戻すもので、準備段階を省いたので魔法力の急激な減少に体が耐えきれなくて……」
「それで倒れたってわけね……ガナーシートであんたが倒れてホント慌てたわよ」
「すみません……そういえば」
 シーバリウは見回す。ジャージの他に、数人の男達。祭の実行委員が夜遅くにも関わらず何かを待機していた。
「これから屋台の方が来るんでしたっけ」
「そ。全部じゃないけど、移動販売車じゃない、設営が必要なとこが深夜に来るから。この境内って車乗り入れるの大変だし」
「そうでしたか。では」
「手伝うな!」
「言うと思いました……でも、しっかり寝ましたからもう大丈夫ですし、明日は作業しないという話になってますので」
「あー聞いた。シーバリウの仕事はあたし達で引き継ぐから。ま、準備係と当日の係は違うから、私もあんまり仕事ないだろうけどね」
「そうでしたか、で………………」
「…………で、?」
 「で」で固まったシーバリウ。
「…………あ、ごめんなさい、なんでもないです」
「?」