第6話 祭の夜に (11) [△ ▽]

 御輿の準備ができて、男達が集まる。
「……………………………………………………」
 その中に混ざったシーバリウは、黙ったままだった。
「どうしたよ、あんちゃん」
「あ、いえ……」
 顔なじみの委員に話しかけられても、その顔はこわばったまま。
 ……本当に、みんないなくてよかった……。
 ジャージは徹夜明けで寝ていた。
 うめは旅館に戻って手伝っていた。
「私はいるけど」
 そう、紫恋さんは……えっ!?
 振り向くと紫恋がにやにや笑ってカメラを向けている。
「!!」
 思わず体を隠す。ふんどしひとつの姿で隠しようのない白い背中と尻が向けられる。
「ふんどしは初めてだよねー、どう、感想は?」
「感想だなんて……こんな格好するなんて聞いてませんでした」
「ってゆーかかつぐとは思わなかったけど。そこまでやりたい?」
「それはもう」
 と、御神輿をシーバリウは見上げる。
「大きいですよねー。これをみんなでかついで運んでいく、それだけなんでしょうけど、でも……楽しいです!」
「ふーん、その気持ちは理解できないけど、王子が楽しそうってのはわかるよ」
「……カメラ、ずっと撮り続けてるつもりですか?」
「止めたらうめに殺されるもん」
「うめさんも観るんですか……」
「それに、見てる人がもう一人」
 紫恋の指さす先に高士。
「姉さん、悪趣味だよ……」
「気にしないの、今日はあんたじゃなくて王子メインなんだから」
「たく……いくぞ」
「あ、はい。じゃ、紫恋さん」
 振り向くシーバリウ、その胸元で何かが閃く。
「あ、王子待って。それ外しなよ、他の人に怪我させちゃうから」
「? あ、そうですね」
 シーバリウが胸に掛けているネックレスを手に取る。抗魔法力を持つ稀法石のネックレス。
「預かっててあげようか」
「ではお願いします」
 ネックレスを受け取り、なくさないようにと自分が首から掛ける。
「へー、結構きれいなんだ……」
 その稀法石は、きらきらときらめいていた。