ef - a tale of memories. 第12話「love / dream」(終)

 記憶を手放した千尋、忘れ去られた蓮治、それでも蓮治は、手を伸ばす――。
 もしかしたらこの先には残酷な未来しかないのではないかとも思う……千尋は毎夜記録を記憶し直さなければならない、いずれ訪れる限界が二人を引き裂くことになるのでは――ただそれでも、千尋の「忘れたくない」という気持ちさえ忘れなければ……。


 最終回。
 いい作品でした。
 まず話。基本はベタな恋愛物語だけど、創作活動がテーマに据えられていてそれがとてもツボだった。キャラクターそれぞれに問題があったけど、それに振り回されすぎずちゃんと恋愛物語として成り立っているのも良かった。
 次に演出。最初は亜流新房昭之監督作品かなーと思ったら、最終的には全然違った、とても「分かりやすい」と感じた。新房昭之監督作品は、たとえば背景と影でパースがずれていたりして、その特殊なパースやレイアウトから演出意図を読み取ることができなかった。でも本作はシーン毎の斬新な演出は直接心を揺り動かしてきた。
 それが端的に表れていたのが、最終回でのオープニングの変化だと思う。これまで壊れてきた少女達が救われる――ある意味ベタで、ありがちで、分かりやすい、でもただそれだけで心震える。
 この演出を支えた作画と効果も素晴らしかった。特にCG効果の使い方はすごかった……流れる雲とかCG効果だけで作ってるんだろうけどよくできるなぁと。場面毎に色調が違うのも無茶苦茶手間掛かってそう。でも手描きじゃできない演出なんだよなぁ。この作品の演出とその技法は、これからのアニメをとても期待させるものだった。
 ひとつだけ残念なのは、伏線が結局回収されなかったことかな。この廃墟に作られた街が生まれた経緯や、帽子被った女の子は誰なのかとかなんだったのかなーと。ただその辺は「ゲーム版やってね」ってことなのかもしれないし、もしこの伏線に壮大な物語があったのならむしろやらなくて正解だ(爆)。6人の男女の物語に絞ったからこそこの物語は美しかった。