直線的思考と平面的思考

 わての場合、こういうのを「平面的思考」と呼んでいます。
 物事の考え方には二種類あって、ひとつは「直線的思考」、もうひとつは「平面的思考」です。
直線的思考

  • 考え方が直線的。
  • 順序立ててひとつずつ考える方法。
  • たとえば「配列の中身を全出力」する場合「まず配列を受け取る→1番目の要素を出力する→2番目の要素を出力する→それを続けて、最後の要素まで出力したら終了」と考える方法。
  • 論理的思考はこちら。
  • 「文系」「左脳」「A型」「女性」っぽい。


平面的思考

  • 考え方が平面的。
  • 平面的、地図的に物事を考える方法。
  • たとえば「配列の中身を全出力」する場合「【配列】【繰り返し機能】【出力機能】を組み合わせればできるかな」と考える方法。
  • 直感的思考はこちら。
  • 「理系」「右脳」「B型」「男性」っぽい。


 ちょっと極端な例ですが、以下のような違いが現れると思います。


例1:あ、そのマグカップどうしたの?

  • 直線的思考:「それがですね、昨日ハンズに行って、文具コーナーに行ったんですよ、でも欲しかったボールペンがなくて、そのあと下の階に降りたら、たまたまこのマグカップが目に入って、ちょうど以前使っていたのが割れちゃったので、しかも好きな犬柄だったんで買ったんですよ」
  • 平面的思考:「買いました」

 つまり、直線的思考の場合「思い出した順番に話す」ため「余計な部分を省けない」から冗長になっちゃうわけです。逆に平面的思考の場合「マグカップ=買ったもの」という単なる等価な存在であり優先順位がないためストーリーを作ることができないわけです。


例2:仕様書が一部しかできてないんだけどこれで作ってみて

  • 直線的思考:「はい、とりあえず取りかかってみます」
  • 平面的思考:「こんなものでできるわけないじゃないですか、こんなものあとで必ず破綻しますよ」

 直線的思考の場合は「スタート」さえあればとりあえず作れます。一つ作って、それに継ながるものを継ぎ足せばいいわけですから。逆に平面的思考は「仕様書」をイメージしたときに情報が少なすぎて全然作れないため取りかかれません。


例3:甲斐の国の南西に駿河の国、南東に相模の国があります

  • 直線的思考:「あ、だから武田は今川や北条と戦争をしたんですね」
  • 平面的思考:「ということは駿河の国の東に相模の国があるわけですね」

 直線的思考の場合、領地が連接していることを歴史と関連づけて考えています。このように時系列や理由を重視する傾向にあると思います。平面的思考の場合、このみっつの領地を頭の中でイメージして領地の位置関係を重視しています。


例4:1+3+9+7は?

  • 直線的思考:「1に3を足して4、9を足して13、7を足して20」
  • 平面的思考:「10x2で20」

 直線的思考の場合は頭からひとつずつ足して行くので時間が掛かります。一方、平面的思考は各数字をバラバラにイメージして、10になる「1+9」「3+7」のペアを見つけてから計算しているので早くなります。


 プログラミングの先生としては「両方ともバランスよく使えるようになって!」と言いたいです。
 直線的思考の生徒は、規模が大きくなると、全体を頭からひとつずつ考えてしまうのでパニックになっちゃう方が多いようです。特にオブジェクト指向はまんま平面的思考なので難しいかもしれません。
 平面的思考の生徒は、ベタな実装しかできないのに「もっとうまい組み合わせがあるはず」と考えたときに手が止まってしまい、一歩も進めない方が多いようです。また、知識の一部に誤りがあって、「イメージ通りに作ったのに動かない!」と悩んでしまう方も多いようです。


 一般的に、直線的思考は社会向け、平面的思考は技術向けだと思います。で、今は両方とも必要な時代です。たとえばお医者さんは医療技術とアカウンタビリティが求められます。今はどちらも欠けてはいけない時代になっちゃってます。
 たいがいの人はどちらか寄りだと思いますが、でも個人的経験から言うと、このふたつは相反するものではなく、両立できると思います。育てれば一方を損なうことなくもう一方を育てられると思います。片方だけじゃ生きていけないしね。
 直線的思考の方は、順序立てた考えをいくつか並べて、共通する部分を分ける練習をしてみましょう。たとえば業務文書を作る時に、文書の中にいつも使う文というものが出てくると思います。そういう部分を抜き出してコピペするようにして、常に「この時はあの文をコピペできないかな」とイメージしてみましょう。
 平面的思考の方は、平面図の元になるパーツを作るときに必ず直線的思考をしているはずなので、そのときの経験を忘れないようにしましょう。たとえば紙に書き留めておいて、それを再現できるように練習してみましょう。
 まぁその前に、直線的思考の方は平面的思考のことを、平面的思考の方は直線的思考のことを、嫌いにならないようにしましょう。多分ほとんどの方はまずはそこから。上にあげた例文、一方の言葉を「ありえねー!!」と思わないでね。両方の考え方ができることが理想ですから。