第12話 たったひとつの確かな理由 (23) [△ ▽]

「うわっ!」
 緑の帯が解け、シーバリウ達四人が投げ出される。四人は適当に投げ出されながらも、バランスを取ってなんとか着地し、そのまま道を駆ける。
「この道でいいの!?」
『大丈夫! あと……300メートル!』
「それって結構なくない!?」
「そうも言ってられないでしょ!」
 石がスライドし、そこに黒い獣が現れる。数は少ないが、狭い通路では壁以外の何物でもない。
「僕が先行します、皆さんは後ろをお願いします!」
 シーバリウが剣を抜き、自らに魔法を掛けて駆ける。
『うめと紫恋は間!』
 ジャージは二人を追いやり、しんがりとなって追う。
 だが。
「……王子?」
 シーバリウの剣が、獣の側を掠める。
「くっ……」
 肩で息をしつつ、距離を取る。が、
「ちょっ」
 紫恋の手がシーバリウの背中に触れて、それ以上は下がれないことを知る。
「大丈夫? 王子」
「魔法の使いすぎ……うめ私降ろして、肩貸すくらいならできるから」
「う、うん」
「ジャージさん前お願い!! うめは後ろに」
『どうしたの?』
「王子がちょっとへばってるみたい」
「大丈夫です」
 肩を貸そうとする紫恋を拒んで、シーバリウは剣を構える。だがその剣先は震えていた。
「ちょっと、どうするの!? もう来てるよ!」
 後ろを見れば、そこには獣の群。
「……強行突破します」
『って、それ止めるのもう三度目くらいなんだけど。ワースの上からでゴメンね』
 と、ジャージはシーバリウの背中を抱きかかえる。
「……真美さん?」
『冷静になりなって、私達はみんな一緒なんだから。一人で突っ走らないの』
「あーでもそんなとこ見せられるとちょっとムカツク」
『そこ茶化さない!』