第12話 たったひとつの確かな理由 (6) [△ ▽]

「死ねよー、早く死ねよー」
 元の世界。
 イヴァンディは体育座りをして、ワース3人と石人の戦いを観戦していた。
 うめに蹴り飛ばされていた三峯が復帰し、まだ生き残っていたワース2人と共に石人を攻撃していたが、それは「かろうじて善戦している」といったレベルだった。
『応援まだですか!?』
『応援なんか頼るな! おい、おまえらの方が火力が高いんだから前に出ろ!』
『無茶言わないでくださいよ、スマートガンは後方支援用ですよ!?』
 そんな悪態をつきながらも、3人はワースの力をフルに利用して動き回り、リングガンでなんとか境内の外に出さないようにしていた。
「応援、来ないんじゃない? 見捨てられたんだよきっとー、だから諦めて死ねよー」
『うるさい!!』
 三峯のワースが音を立てて立ち止まり、イヴァンディに怒鳴りつける。
『お前なんなんだ!? なんなんだいったい!!』
「二度言わなくてもいいでしょ。HACのイヴァンディです、だから皆さんの敵でーす」
『敵でもいい、戦いに参加しろ!』
『はぁ!?』
 その声は他のワースから。
『HACに手伝ってもらうなんてあり得ないですよ! 服務規程違反ですよ!?』
『死んじゃったらなんにもなんないだろ!?』
「JCTHUのプライド以前に、人としてどうよ……」
 イヴァンディが、緑の帯が巻かれた人差し指を立てる。
「ひとつだけ言うことをきいてくれたら助けてあげる」
『なんだ!!』
「ワース脱いで」
『はぁ!? っうぉ!』
 近づいてきた石人に気付き、リングガンを掃射して距離を取る。
『俺達を殺す気か!?』
「そのままでも死んじゃうのに?」
 石人の巨大な腕が振るわれ、イヴァンディを直撃する。が、その体がトランポリンのようにたわみ、自らを跳ね飛ばして距離を取る。
「それ着てると皆さん戦闘状態になりますから私戦えないんですよ。脱いでくれたら死んだも同然ってことですね」
『わけわかんないこと言うな!』