第4話 機械の魔法、機械の天使 (29) [△ ▽]

「はーい、あれに乗りたい人ー!!」
 うめが声を掛けると、子供達が一斉に手を挙げる。
 あ〜ん、私の方が乗りたいのに〜。
「じゃあ、おねえさんとジャンケンして、勝った子に乗せてあげる! ジャンケンに負けたら座ってねー! じゃあいくよー、じゃんけん」
 ぽん! とグーを出し、子供達がグーチョキパーをそれぞれ出す。
「はい、チョキを出しちゃったら座ってねー。いくよー」
 そんな姿を見るシーバリウとジャージ。
「子供好きそうですね」
「? きょうだいっていたっけ」
「いないと思いますけど……」
「子供好きだよーうめは」
「!?」
 ぬっと出てきた紫恋に二人は驚く。
「この辺って子供少ないから、どうしても学年の上の生徒が下のを面倒見るわけよ。子供会とかあるし。そういうの昔からやってたから」
「なるほど……」
「私はだめ。あのキンキン声! 眠らせろっちゅーねん」
「夏休みだからってこんな時間まで寝てたんですか?」
「昨日の深夜にお笑いグランプリの再放送やっててつい見ちゃって……あ、終わった」
「じゃ、今グーを出した3人にお願いしようかな! 3人ともこっち来てー!」
 手招きと共に3人が寄ってくる。
「あ、この子のお父さんかお母さん、いらっしゃいます?」
 3人の中でもとびきり小さい女の子、その頭を撫でて会場に訊く。慌ててお父さんが近づいてくる。
「な、何か?」
『いえ、小さすぎるお子さんには保護者の方にも一緒に乗って頂きたいのですが、よろしいでしょうか?』
 うめの代わりに姫山巡査が説明する。
「あ!」
 ジャージがすっとんきょうな声を上げる。
「?」
「知り合いの子供がいたら、保護者って言って乗せてもらえば良かったんだ」
「ああ!」
「あんた達は……そこまでして乗りたいか」
 紫恋はあきれるばかりだった。
 説明が終わって、簡易の更衣室に保護者と子供が連れられる。
『中に係の方がいますから、その方の指示に従ってくださいね』
 そうして、ふたつの更衣室に別々に入っていく。