第1話 空から王子が降ってきた (4) [△ ▽]

「ホントに大丈夫かな……」
「くぅ〜ん」
 心なしかゴン太も心配そうに鳴いた。
『浮上魔法を使用します。紫恋、も少し下がって』
「あ、うん」
 うめを心配そうに見つめながら、段を上がる。
「うめ、がんばって!」
「がんばるのはジャージでしょ」
『エルメティアナス散布開始、ステッキ開始位置へ』
 装甲多脚の脇から空気が吹き出し、機械の右手が高々と棒を持ち上げる。
『録音開始、朱雀の力を威として、うめとゴン太を浮上せよ! 録音終了、コロナの水、着火!』
 周囲の空間に光りが走る。動き出す右腕と棒。
『/掩ー贛-●}』棒の先が光を追い『腭◇|飄↑諂濛』その軌跡が空を描き『贛艠=§ヽ纜』ひとつの図となる。【借威魔法実行権限取得対象第一百五拾五位火神朱雀、伝達開始!】朱雀の力を威として、うめとゴン太を浮上せよ!
「う……うわっ!」
 うめのまわりへと降りてきた風が土煙を巻き上げ、そして風の手のひらがうめを包み込む。その手がゆっくりとうめを持ち上げる。
「……ほんとに浮いてる……」
 ゆっくりと浮き上がる自分に驚くうめ。
『よーし、ゆっくりとこっちに引っ張ってくれ』
『……多分無理』
『へ?』
 うめの体ががくんと落ちる。