花咲くいろは 第25話「私の好きな喜翠荘」

 客を取りすぎててんやわんやの喜翠荘、ところが巴が足をくじいてしまい人手が足りなくなってしまう――。
 再結束!
 目的を見失ってしまう喜翠荘の面々。自分たちの居場所である喜翠荘を守ること、そこにこだわりすぎてそれを阻害するものを全部敵視してしまう……。それこそ、女将と夫のように民子と徹さんふたりでやっていくことだってできるのに、ただ居場所だけに固執してしまう。若いのに〜。実際、本作で一番若い考え方をしてるのが女将という気がする……。
 面白いのが菜子の立ち位置。菜子は、元々大家族の中で暮らしているから、本当の「家族的」なものの良さを知っていて、だから殺伐とした喜翠荘に違和感を感じる事ができたんだと思う。でも同時に、菜子は家族の中で母親代わりをしていて、それが自分の存在意義になっていたから、自分一人ではやっていけないと思いこんでいるんだと思う。この辺の絶妙さがうまいなぁと。
 そんな感じでやばい状況の所に、巴さんが怪我をして大ピンチに! それでも敵対心だけが勝ってしまう縁達、そこへ女将とママがやってきて――! ここの展開がすげぇ。なんのために戦っているのか分からなくなって、一度負けを自覚して、そしてふたたび立ち上がる――! この展開熱すぎる。
 この展開って、実際はよくあるパターンだと思う。特にスポーツもの。勝ちにこだわりフェアプレーやサービス精神を失うチーム、メンバーが傷つきプレーを続行できなくなったその時、助っ人を連れて監督が戻ってくる。反発するメンバーだったが、メンバーの一人の言葉にみな本当の目的を思い直し、一致団結する――!
 こういう良くあるストーリーなんだけど、それを旅館という、古くさすぎて今ではどこも使わない舞台設定を持ってきた所に斬新さがあるのではないかと。それに、旅館であれば地域とのタイアップができるし、今回のように美しい演出もしやすい。そこまで考えてこういう設定にしてるんだとしたらすごいわ。いやきっとしてるんだろうなぁ、この緻密さだもんなぁ……。