花咲くいろは 第13話「四十万の女〜傷心MIX〜」

 緒花と共に帰ってきた母親・皐月に、喜翠荘の面々は戦々恐々とするのだった――。
 鬼の帰還。
 女将さんにぼろっぼろに叩かれるママを期待してたのに、まさか逆とは! 弟の縁はともかく、女将もあんな反応とは。
 それもそのはず、やりこめられるどころか言いまくりのママ。喜翠荘についてかなり詳しく、指摘も的確。自分がもといたというのもあるし、今仕事にしてるのも関係してるんだろうなぁ。このスペックの高さは半端ない……。あと声に迫力があるんだよなぁ、聞いた人間が無視できない声音というか。板前が言っていたように、この声は女将さん譲りなんだろうなぁ。
 そして緒花ちゃんはそれを受け継いでない(汗)。押しの強さもちょっと足りなくて、自分が引いちゃうタイプ。我の強さは受け継いでるんだけどそれをスタンドアローンで活かしちゃう。ああそこはママに近いのかも。あと気配りの良さは女将に近いかもしれない。
 ……ということがよく分かる、とてもいい親子三代の交流話。父親不在の歪な親子関係であり、歪なままでありながら、お互い分かり合える、そんな一夜の酒の席。この脚本演出がすごい。親子の相互理解を外面で繕うような安易な演出に逃げる作品が多い中、心の交流に絞って会話や空気で表現する――。しかもそれが、啓蒙的な上から目線ではなく、笑えてエロい(爆)と、見ていて飽きることも辛くなることもない。
 ここ5話ほど、緒花の居場所が喜翠荘なのか東京なのか、という点を主軸にものすごく丁寧に描かれていて、それが今回完結した。毎回毎回テーマや見せ方を変えているからエンターテイメント性が高くて毎回本当に面白く、その中で緒花の気持ちが一本の線のように紡がれていく。何この神……。