放浪息子 第9話「かっこいい彼女」

 男子制服を着始める高槻、二鳥に女装姿を求める土居。二鳥の気持ちは揺らいでいく――。
 女装への熱望。
 土居君という存在。危険だ、ユキさんが言う通りこれは危険そうだ……。土居君と二鳥姉は観客側、良くも悪くも評価して対象を揺さぶってしまう。しかし目立つ存在がそういう傍観者に左右されるのは避けられないわけで、これをどう乗り越えるかが二鳥君のこれからの鍵になりそう。
 男装をする高槻さん。高槻さんの場合、千葉さんという前例があるのがまず大きい。言い換えると、千葉さんが男装をしても許されてしまうというのが大きい。でもそれが許されるのは、高槻さんであれ千葉さんであれ、女性であることを維持した上で服装を男性化しただけ、という暗黙の了解があるから成り立っているわけで。
 でも男性の女装というのは外見の変化だけではなく、中身の女性化を意味してしまう。性格や性質の一意を社会的に求められてしまう以上、そこには批判と嫌悪が生じてしまう。その結果、二鳥君は――。
 もちろんそれは女性の方が得ということでもなく、男装しただけでは中身の男性化とみなされないのは高槻さんにとって大きな問題だと思うし。二鳥君の件で大事になったけど、本作は各キャラ視点の話ももっと見てみたい。