鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 第63話「扉の向こう側」

 エドによって追い詰められるお父様は、グリードが持つ賢者の石にすがって生きながらえようとするが――。
 決着。
 長い長い戦いの結末が、今、ここに。ホーエンハイムにとってはまさにここが人生の終着点だったんだろうなぁ。自分の手で開放してしまい、多くの犠牲を生み、息子には厭われてしまい……それでも、この日のために入念な準備を重ね、それが形になったわけで。本人にしても、あの身分で人生を終えず、トリシャという奥さんにも出逢えて、最後はエドにああ言ってもらえて、悪いだけの人生でもなかったのかもしれない。
 実質的にはホーエンハイムが主人公なんだろうけど、でもそれでも主人公はエド! というわけで最後の決着を着けたのはエド。そしてアルも――。
 グリードとリン。グリードは思いのほかいい死に方ができたのかもしれない。「国のため」という欲を持ちながら、それが「みんなのため」というリンの生き方や考え方は、グリードにとって似た者であり同時に憧れでもあったのかも。
 絶望を与える「真理」。我々人間は、より多くの事を知ることができればそれが幸福に継ながると考えがちだが、しかし真実は幸福ではなく残酷なものであり、それを知るものには絶望を与える――。これが本作の柱なんだろうなぁ。