第12話 たったひとつの確かな理由 (20) [△ ▽]

『フィーアグナリドカーツ!!』
 ジャージのステッキから白い閃光が放たれ、サナツカへと疾る。
「これは――」
 横に飛んで躱すが、翼の先が光に触れ、弾かれる。
「――魔族を獲る光の糸か」
「その通りです!!」
 シーバリウは飛び掛かり剣を振る。サナツカはそれを見て、躱す。その動きには余裕があり、腕を振って攻撃を返す。
「!」
 閃光、ジャージの魔法がそれをさせない。光の帯がサナツカとシーバリウを遮る。
 目の前を疾る光の帯を、跳ね超えてシーバリウが現れる。袈裟掛けに振り降ろされた剣先をかろうじて躱していたが、それを確認する前に二の剣が振り上げられる。
「く」
 思わずうめき声を上げて、手を振り降ろし、剣を押さえつける。
 あり得ない。
 再び目の端で光を見て取り、飛び上がって閃光の帯を躱す。逃げる先にシーバリウの剣。振り抜かれてはいないその剣に羽根が触れ、ささくれ立ち、崩れるように剥げ落ちた。
「あり得ん!!」
 声にまで出して叫ぶ。
「お前は死を恐れないというのか!!」
 魔法は、シーバリウに効かないわけではない。効果の差はあれ、直撃すれば動きは止まる。そしてそれは死を意味する。
「あの女もあの女だ、おまえ達はなんだ、複合生命体とでもいうのか!」
 大きく羽根を羽ばたかせ、後ろへと一瞬にして飛び去る。
『イングギーザ!!』
 シーバリウは呪文を唱え、完成した直後にシーバリウはサナツカの横を貫通。投擲された槍のように、シーバリウはサナツカへと射られ、左翼を貫きその何枚かを砕く。
 片翼を欠きバランスを崩したサナツカを閃光が襲う。帯はサナツカの体を削り、絡め、光の布となって覆った。
 閃光が疾ったそのタイミング、シーバリウが貫いた直後。
「なぜおまえ達はそこまでやる!!」
 なぜか。
 誰のために、命を賭してまでするのだろう。
 うめさんのため? 紫恋さんのため? 真美さんのため? 自分のため? みんなのため?
 僕にも、それはわからない。でも、これだけは言える。
ロギアッツ!!固化!!
 シーバリウは、サナツカの胸に剣を突き立てた。
 誰かのために、体が動く。それが僕なんだ。