第9話 君がそこにいるから (11) [△ ▽]

『来たか』
 暗闇から矢の如く、無数の氷刃が飛んでくる。楯となって立つワース達に突き刺さっていく。
 だが、それは先の物とは比べ物にならないほど細い。
『全員無視しろ』
 それは貫く事は決してなく、ワースの強度と抗魔法力によって粉々に砕け散っていく。
『これでは目くらましにも』
『ぐっ』
 ブラボー03、disable
 ワースに、剣が突き刺さっていた。
『な』
 直後に、鈍い音。
 逆方向、装甲多脚がワースに体当たりをしている。
『な、なぜ足止めをしていない!』
「行ける!」
 目の前にワース、石人、そしてSHP-1344c。
 装甲多脚の前足が持ち上がる。
「踏み潰す!」
 その足の関節が、瞬時に粉々に砕け散り、足先が地面に落ちる。
 すぐ近くのワース、デルタ01が、リングガンを向けていた。
「え」
 あり得ない。
 自分でいつも扱っていたから判る。あの太さの物がいとも簡単に……考えるのは後!!
 レバーを後ろに下げ、装甲多脚が下がっていく。が、その動きはたどたどしい。そして、その車体が跳ねる。
「ッ!」
 下がる方向からもワースが迫り、リングガンを向けていた。
『よし、アルファ02、05、ブラボー01はそのまま装甲多脚を離しつつこちらに来い』
 石人の周りは、余りにも手薄すぎた。
 そして、ここに。
デアトー剣を我が手に
 魔法反応、ワースに突き刺さった一振りの剣、その剣を握る姿が暗闇に現れる。
 シーバリウは、ワースに突き刺さった剣を抜く。血と液体金属が飛び散り、それが弧を描くように体を回転させる。
イグ・リーツィヴ!閃、斬!!
 閃光の輪がシーバリウを十重二十重に包み、周りのワースを、放たれた銃弾を、ありとあらゆる物を刻み飛ばし、そして剣の軌道が一際大きな閃光の輪を作り、それがSHP-1344cを斬り裂き、斬り刻み、巻き込み、粉々に消し飛ばした。