第9話 君がそこにいるから (10) [△ ▽]

『う……』
『ブラボー04、目が覚めたら5番弾に変更、スモークを視認したら即座に除去すること』
『……ラジャー』
『ブラボー03から05、全方位索敵続け』
 あれで終わるはずはない。デルタ01は確信する。
『チャーリー01、残り時間は?』
『残り3分ほどです』
 思ったよりも経っていない。
『……?』
 視界に矢印が現れる。装甲多脚、型番不明。
 遥か先、林の中から迫ってくる。その後ろには、味方のワース。
『ブラボー03、3番弾で威嚇射撃、足を止めて後続に潰させる』
『了解……!?』
 けたたましい警告音、全員がその方向を向く。そこには、無数のワースが立ち、リングライフルを向けた。
『幻だ! ブラボー03、装甲多脚のみを攻撃せよ、他の者は全方向索敵続けっ!』
 が、幻のワースから放たれる銃弾に、ワースが反応する。各々がリングライフルを向け、トリガーを押す。地面、崩れた神社、遠くの木々に着弾して爆発する。
 それはまるで、混戦のように。
『くそっ、これだから無脳はっ!』
 ピピッ
『っ、上!?』
 頭上から迫る何か。
『チャーリー02、体当たりで阻止しろ!!』
『え、う”っ』
 声にならないうめきと共にワースが飛び上がり、急降下したそれに体を叩き付ける。鈍い音を立てて棒状のそれは折れ曲がり、石人から離れた位置に落ちる。体当たりしたワースは体の形を人でないものに変えながらも、地面に着地した。
 再度の警告音。
『全員密集!!』
 ワースが石人を中心に周りを囲む。
『いいか、ブラボー03から05及びチャーリー02はSHP-1344cを死守! チャーリー01は解放を最優先、クロフネ、なんとかして距離を取れ、巻き込まれるぞ!』
 残り時間、1分。