第5話 待逢として (13) [△ ▽]

 爆音と共にコクピットが3分割される。下の口にパイロットシート、上の口にガナーシートが表れる。
『確保!!』
 紺色のワースを着た警官4人が四方からガナーシートへと飛びかかる。手には長い棒のようなもの。
キャーッ!!
『ふん』
 林田賢一は落ち着いていた。自分を抑え込もうとする棒、その一番先に届くものを咄嗟に選択、ワースの手でそれを受け流す。
『!?』
 受け流した棒は林田の目の前ふりかの頭上を通過し反対側から迫る2本の棒を弾く。
『む』
 残る一本の棒、その遅れて届く一撃を左手で受け流し勢いを殺し、右手で掴み支点とし、てこの原理で振り回す。
『うわっ!!』
 棒を持つ警官がガナーシートの回りを飛び回り、他の警官全員を弾き飛ばす。
『あ……きゃっ!?』
『まだ人質になってもらうからな』
 林田はふりかを抱え、飛び出す。
アルナバリッツィオ!
『なっ!』
 二人の眼前に巨大な水榴が突如現れ、二人を包み込む。
「これで――――!!」
 その水榴が弾け飛ぶ。
『? なんだ……? まぁいい』
 水榴の束縛が解かれ、林田は着地し、さらに飛び上がり、神社の裏手、林の中へと逃げ込む。
『まずい、追って!』
「はい!」
 姫山巡査のかけ声に合わせて、警官達が林の中へと入っていく。
「!! 待ってください、何の準備もせずに入るのは危険です!」
 シーバリウが詰め寄る。
『え……』
「あの林は見た目よりもずっと険しいですから、道に迷ったり、滑落したりする可能性があります。それにあの方はワースを着てますから、武装していない方は追わない方が懸命だと思います」
『……ですが、今逃がすわけにはいきません。機花ジファのバックアップもあります』
「ですが……!」
 シーバリウの言葉には耳を貸さず、姫山巡査が走っていく。