第4話 機械の魔法、機械の天使 (9) [△ ▽]

「それではそれは高階町に頼んだらどうでしょう。先ほどの話ですと町工場の方が協力してくださりそうですが」
「確かにあそこの工場は協力してくれるだろうが、それじゃさっきの作業と被っちまうじゃねえか」
「柵の組み立てに高い技術力が必要とは思えませんので、我々は教えて頂くだけでいいのではないでしょうか。ちょうどその日は我々の手も空いていますし」
 と、シーバリウがテレビ画面を見る。カレンダーの隙間に「柵組み立て」と書かれる。そして同じくテレビを見たジャージが言う。
「それなら、その日に29日の持ってきた方がいいよ、一緒にできるから」
「そうだな、その方が協力してもらいやすいだろう」
「それでは8月2日に行うということでよろしくお願いいたします。代わりに29日が空きますね」
「それなら出店の視察日を持ってきて、櫓の建築とかをスライド。業者との交渉日の予備日は土日じゃない方がいいでしょ」
「交番さんは日曜日でも大丈夫でしょうか」
「それは訊いてみないとな。でも大丈夫だろ」
「おととしに高津町で『体験乗車会』をやった実績があるから、それをセットにしてもらうのはどうかな」
「体験乗車会?」
「セラフっていうのに乗せてもらうのだろ? あれ子供喜ぶんだ」
「それはお祭りの広報に役立ちそうですね」
 と、そんなふうに場を仕切始めたシーバリウとジャージを、うめはぽかーんと見とれていた。
 ジャージはゴーグルを使った情報解析能力を使い、足りない情報を次々と補う。また、客観的に状況を見て、パズルのように最適化する。
 シーバリウは情報を整理し最善策を出す。その笑顔の絶えない進行は高いプレゼンテーション能力を見せる。
「お、次回するはずだったスケジュールまで決まってしまうとは思わなかった」
 紫恋の「うわぁ嘘っぽい」という視線の中、神主はそう言い切って場をとりまとめる。
「本当だよ、これでかなり楽になる」
 とまんざらでもないのは煙草点けてもらった男。他二人の男は「おいおい」といった顔をしている。
 ……なるほど、王子は王子だもんね、プロパガンダには長けてるってわけか……。
「じゃあ、今日はこれで解散。次回はあさって、同じ時間にということで」
 と言って、神主を含めた何人かは残って次のビールを空け始めた。