第4話 機械の魔法、機械の天使 (7) [△ ▽]

「お、うめちゃん、ジャージ、こっちこっち」
 待逢家、勉強会で使っていた居間、長テーブルを囲んで座っている男達の中の一人が3人を呼ぶ。
「あ……」
 旅館山田屋の食堂で見かけた顔だった。毎晩夕食を食べに来て、うめパパといつも飲んでいる顔ぶれ。体格のいい男と初老の男性の隣にうめとジャージ、シーバリウが座る。
「そっか、お二人とも委員会入ってたんですね」
「毎年の楽しみだかんな!」
「ったく、お前は酒飲めるからやってるんだろ」
 笑い声が上がり、その中に自然と溶け込めるうめに、ジャージは感嘆していた。
「今年はジャージとしばちゃんもやるんだ」
 男がジャージとシーバリウに話を振る。寝泊まりを旅館でしている二人にとっても見知った顔だった。
「はい、僕もこのお祭りというものに非常に興味ありますので」
「でも結構大変だぞ?」
「ええっ、そうなんですか?」
 と戸惑うシーバリウに笑い声が上がる。
「別に大変じゃないって。櫓建てたりするくらいでしょ?」
「多分それだけじゃないと思うよ。出店の手配、広報、そういえば去年は御神輿も見掛けたし、そういったことをしてくれるスタッフも集めないと」
「お、ジャージよくわかってるじゃねぇか。他にも神社の祭事としての段取りを決めたり、盆踊り教室を開いたり、近くの学校の子供会と連絡を取ったり……そういった取りまとめをするのがこの会ってことだ」
「なんだ、そうだったんですねー」
 って、そんな大変なのだったんだ……あたし、やんなきゃ良かったかも……。
「面白そうですね!!」
 いかんいかん、目的を忘れるところだった。
「でも、ここのことを知らないもんに任せていいのかよ?」
 テーブルの向かい側に座る男が言う。さっき煙草に火を点けてもらった男だ。
「なぁに、すぐ慣れるって」
「いーや、具体的に言うとだな、まずそいつら、他の連中との付き合いはできないだろ? 顔も仕組みも知らないんだから」
「まぁそういう仕事は任せられないわな」
「それにだ、こいつら魔法使うんだろ?」
「!」
 乗り出そうとするうめを制する声。
「まぁまぁ、始める前から熱くならずに」
 神主と高士、そしてめんどくさそうな紫恋が入ってくる。