第3話 三者三様 (7) [△ ▽]

「う……酔いそう……」
 がきょがきょ公道を歩く装甲多脚、その中の先ほどまでジャージがいたガナーシートにうめが座る。
「無理矢理乗ってなによその言いぐさは」
 ジャージはいつも錦が座るパイロットシートに座り、操縦桿を握る。向かう先は旅館山田屋。
「でも馬ほどは揺れませんよ」
 というシーバリウは、ジャージとうめの間の通路のようなそうでないようなスペースに座る。
「そういえばこれなに? なんか手が入りそうだけど」
 うめの前、左右に筒状のスペースが見える。
「これの腕を動かすためのコントローラ。それ使って腕を動かしてるんだけど、実際は図面通りに動かしてるだけなんだけどね」
「そのための、あの火ですか?」
「あれはコロナの火っていって、ステッキの先に付いてる稀法石を発動させるためのもの。機械の動作で理を紡ぐには、ああやんないといけないんだって」
「確かに、人間以外でも純粋魔法は使えますが、ああしないと理を示せないかもしれませんね」
「? 魔法は……そか、純粋魔法は人間以外も使えるけど、借威魔法は人間しか使えない」
「そうです。借威魔法を使うためには、威となる存在に魔法を使う許しを得なければいけませんから、借威魔法はまず人間しか使えないわけです。そこで、この機械はまず純粋魔法でその許しを得ているのです」
「これね」
 ジャージがマウスを操作すると、うめのモニターにリストが表示される。
「朱雀と玄武? 聞いたことあるけど」
「中国の四神、風水とかに出てくる方角を示す神様のこと。って言っても多分パチモン」
「パチモン? 娯楽の一種ですか?」
「違うって、偽物のことよ。まぁ、そんなたいそうな神様なら私一人くらい簡単に運べるわよねー」
「でも、あの魔法は借威魔法でも結構高位なんですよ?」
「え、じゃああんたのレベルって結構高いの?」
「ええ、私は王子ですから、ゴナツ神の高位信者として見なされています。ですから高い魔法も使わせて頂けるのです」
「え……じゃあなに、あんたが魔法を使えるのは王子だから?」
「ええ、そうですけど」
 と、当然のように答えるシーバリウ。
「なるほどねー」
「って、うめも納得しない!」
「だって、さまるとりあもむーんぶるぐも王子と王女だよ?」
ゲームと混ぜるな!!
「やっぱり娯楽の話じゃないですか」
「違う!!」