第2話 好きとスキと (17) [△ ▽]

「???」
 目をぱちくりするシーバリウとうめ。
「あたしはね、天然って大っ嫌いなの!!」
「天然って、天然ボケの天然?」
「そうその天然! ボケは必死に苦労して笑いを取ろうとしてるのに、天然はなんの努力もなしに笑いをかっさらう! ボケがどんなに努力して引き出しを作っても、天然の無尽蔵な引き出しにはかなわない! わかるこの悔しさが!!
「わかんない」
「わかんないのかよ」
「……」
「し、シーバリウ……君?」
 と、同じクラスの女子二人が近づいてくる。
「あ、皆さん」
「ああたし、クラスで一緒の三井だけど……ちょっとお話しませんか?」
「はい、いいですよ」
 さすがに紫恋のちんぷんかんぷんな話よりは、とシーバリウは二人の方へと行く。あっという間に話の花が咲く。
「……あーあ、紫恋が変な話するから行っちゃったじゃない」
 うめは心底残念そうに言う。その視線はシーバリウから離れない。
「せっかくちゃんと話せるチャンスだったのに」
「学校でべったりなんだからいいじゃない」
「ごはんネタでも話したかった」
「三井達と仲良さそうに話してるね」
「そうだよねー誰とでも仲良くできるんだよねー」
「でも膝蹴りできるのはうめの特権だよねー」
「そうよそこまでツッコめるのあたしくらいだもの」
「で、キスはした?」
「それはさすがにまだなんだけど」
「……そこは『キスなんて、まだ告ってもないのに』を期待してたんだけど」
「え……あ……あ???」
 溜息をつく紫恋、戸惑ううめは耳まで真っ赤になる。
「確か小学校の時だったよねー、月島の兄さんに会ったその日に告ったの」
あ”ー! あ”ー!!
「あの頃から変わってないとはねぇ……王子のどこらへんにぴぴっと来たの?」
「んー、天然のとこ」
「ちっ」
 紫恋は舌打ちした。