第2話 好きとスキと (16) [△ ▽]

『皆様、今晩はお忙しいところお越し頂き、誠にありがとうございます』
 なぜか備え付けられているカラオケセットのマイクで、シーバリウが挨拶をする。テーブルを囲む立食パーティーの形式。錦、はこね、うめの山田一家、神主、むらさき、紫恋、高士の待逢一家、こんなときも小豆ジャージのジャージ、クラスにいた数人、旅館の客がなぜか数名。
『私はシーバリウ・コメネケと申します。こちらの世界でいうの世界から参りました。こちらには3ヶ月間お世話になる予定です』
 総勢14人を前に、シーバリウはまったく緊張していない。
 やっぱ貫禄っていうか、本当に王子っぽい……。
『短い間ですが、皆様よろしくお願いいたします』
 深々とお辞儀をすると、拍手が上がった。
 パーティーが始まると、真っ先にむらさきが近づいた。
「初めまして、私、紫恋の母の群咲むらさきと言います」
「初めまして、シーバリウ・コメネケです」
「シーバリウさん、日本語お上手ですねぇ」
「ありがとうございます。我が国は日本と交流がありますので、日本語の勉強は必須でしたし、こちらでお世話になるという目標もありましたから」
「勉強熱心なんですねぇ」
「ありがとうございます」
「こんなにお若いのに」
「ありがとうございます」
「ありがとうございますありがとうございます、ってありがとうございます星人かっちゅーねん」
 と、紫恋がツッコミを入れつつふたりに割り込む。
「母さんもも少し控える!」
「あら、もう少しお話したいのに」
 と、グラスをシーバリウに渡そうとする。
酒を飲ますな!
 シーバリウをうめと一緒に連れて行く。もー、というむらさき。
「なんか、紫恋って結構世話焼き?」
 紫恋の行動に助けてもらいながらも、ちゃちゃを入れるうめ。
「……『嫌いなわりに』、ってこと?」
「! ちょっと紫恋!」
「え、…………???」
 戸惑うシーバリウに紫恋ははっきりと言う。
「うん、私、あんたのこと嫌い」
「えええええっ!?」
 涙さえ浮かべそうな程に戸惑うシーバリウ。
「なんでですか? 僕何か悪いことしましたか?」
「あんた、天然でしょ」
「!! こちらには養殖の方がいるんですか!!」
それよ!!