第2話 好きとスキと (13) [△ ▽]

 校庭では、校内全男子生徒+数人の女子生徒がミニサッカーをしていた。高士の姿も見える。
「王子も部活する? 運動神経も良さそうだし」
「どんな部活があるんでしょう」
「……あれだけ」
 紫恋が指さす。
「サッカー、ですよね」
「うちの唯一の部活。女子生徒も入れてやっと11人超えるっていうくらいだから、入ったら即戦力だよ?」
「たった3ヶ月なんて迷惑なだけよ」
「う”」
「ですよね……」
 校門を出ると下り坂が続く。徒歩の紫恋、自転車に乗るうめ、杖に乗るシーバリウ。
「紫恋さんは自転車じゃないんですね」
「あの階段をどう降りろってゆーのよ」
「あー……」
 神社の長い長い石段。
「……じゃあ、階段の下に置いておくとか」
「盗まれたの3回、ごみ箱にされたの7回」
「あー……」
 下り坂が終わる頃、ガードレールのむこう、一段下に川が見える。
「ん?」
 その河原からスロープを昇ってくる緑色の装甲多脚。車道に出ると大きな音を立てて走っていく。
「すごいですねーあれ、虫のように走っていきますね」
「ってゆーかパパはあれでまた遊んでたのね。パーティの準備終わったのかな」
「追ってみようか!」
 紫恋がうめの後ろに乗る。
「あれに追いつけってのー??」
 と言いつつうめが加速を開始する。
「二人乗りいいんですかー!?」
 シーバリウが杖を傾ける。
 うめが一生懸命ペダルをこげば、なんとかつかず離れずのペースを保っていた。
「あ、うちだ」
 旅館の前を減速しつつ通過する。
「あ、うちだ」
 そのまま進むと、長い長い石段の入口に来る。
「じゃね」
「降りるんかい!」
「だって私関係ないし」
「降ろさない!」
「ひっ!」
 いきなりの急加速に紫恋が悲鳴を上げた。