第2話 好きとスキと (3) [△ ▽]

「何勝何敗?」
「ええと、お茶も含めると4勝3敗でしょうか」
 食べられたのは焼き魚、ご飯、佃煮、そして意外にも納豆。
「納豆はメケメケに似た食感でした」
「メケメケ?」
「赤い色をした果実です。割ると納豆のようにねばーっとしてるんです」
「へー」
 玄関先、うめとシーバリウが靴を履く。
「いってきまーす」
「行って参ります」
「はーい」
 二人は玄関を出て、建物脇のスロープを降り、ベランダ下の物置兼ガレージへと来る。
「王子、自転車乗れる?」
「挑戦してみます」
「やめてお願い」
「ええー?」
「そういうのは帰ってから。王子は杖で飛んで行けばいっか」
「ええっ!? それはまずいのではないでしょうか」
「別にいいんじゃない? あたしと紫恋にはばれてるんだし、すぐにみんなにもばれちゃうって」
「そうですか……」
 手を掲げ、
ルーナツィアーク!杖よ来たれ!
 と唱えれば、それはすぐに空から降りてきた。
「おー。あ、私も乗っけてってもらおうかな」
「駄目です、これは本来一人乗りですから」
「ケチ」
「なっ、そういう問題じゃ」
 と聞き終わる前にうめが走っていく。急なスロープをあっさりと登り切って、川沿いの道を登っていく。
「お先〜」
「……」
 杖に乗ったシーバリウが困った顔をしてうめを追っていった。