第2話 好きとスキと (6) [△ ▽]

「し……ば……」
 30分後。
 職員名簿の「柴竜太郎」という名前が自分だということをなんとか説得したシーバリウ、今度は机のキーボードを人差し指でつついていた。
「……大丈夫?」
 うめが後ろの席のシーバリウを覗き込む。
「はい、なんとか……一応勉強はしてきたのですが、私の知っている型式と違うようで……あ、できました」
 モニターにダイアログが現れ「国語高校1年級」「英語高校1年級」「数学高校1年級」といったボタンが並ぶ。今は英語の授業なので「英語高校1年級」を選ぶ。
「これ右耳につけて、マイクとスピーカーになってるから」
 と、コードのついた黒い半球をシーバリウに渡す。うめの右耳下にも取り付けられている。同じように押し付けると、ぴったりとくっついた。
「王子何年生の? ってゆーかどうなってる?」
「全部1年生のでした」
「じゃ、あたしと同じだ
「うめさんって1年生なんですか」
「う”」
 吹き出す紫恋をうめは睨む。
「あのね、ここ日本は前の学年をパスしてないと次の学年を取れないの。私は……去年落としちゃったのよ」
「英語ダメだからこの娘」
「あんたがゆーな、家庭科中3」
「それ言うな!」
しずかに!
 ぽんぽんと先生が丸めた教科書で叩く。
「他の生徒が聞こえないでしょ?」
 右耳の下の黒い半球をつつく。学校備え付けの骨伝導スピーカー兼マイクはいまいち精度が悪かった。
「すみませんでした」
「はぁい……」
「そうです、聞こえないですよ」
 キッ!!と睨むうめにシーバリウがビビる。
「……王子っていくつ?」
「……うーん、なんといいましょうか、ひとつ?」
「年齢よ! 年齢、歳、いくつ?」
「ああ、そういう慣用表現もありました……ええと、16歳です」
「私は17歳」
 シーバリウは目を丸くした。
「ここここれは失礼しました、年上の方とはつゆ知らず」
「……なんかそれはそれですごく失礼な気がする……」
「そ、そうですねそういわれればそうですね」
「ま、今回は許したげる。次からは気をつけなさい?」
「は、はい」
 などと高飛車発言に素直に怯えるシーバリウ、そんなふたりを見て必死に笑いをこらえる紫恋。
「なによー」
「なんとなく」
「うー」
 そんな紫恋に構わないようにして、自分の勉強を進める。後ろでは、シーバリウがマウスを動かしてクリックしている。その動きは意外とスムースに見える。その手が止まり、
「 Yes, he said he would like to have become a prince.」
その流暢な英語に全員が振り向いた。

Java class のバイナリ構造って?

 今日、ネストから抜けるときに急に処理が重くなって、なんかわからんが JavaVM が落ちるとゆーバグがあった。
 ステップ実行して追っていくと発生しないとゆー謎なバグ。こんなとき、 C++ で言うところの混合モード表示でアセンブラみたいなの見れたらいいのになぁと思ったんだけど、 Java はそういう形式にはなってないんかな。