第6話 祭の夜に (24) [△ ▽]

 待逢の家に上がり、とりあえず奥へと連れて行く。
「とりあえずタオル……」
 脱衣場へと行き、タオルを持ってくる。
「どうします? お風呂入られます?」
 紫恋はゆっくりと首を振る。
「……着替える」
「はい、わかりました」
 紫恋の手を引いて、2階の紫恋の部屋へと連れて行く。部屋を開け、電気を点けて、とりあえずベッドに座らせる。
「……大丈夫ですか?」
 紫恋はうなずく。シーバリウは心配顔でさらに尋ねる。
「着替えられます? 部屋の外で待ってますから」
 そう言って何度か振り返りながら、シーバリウは紫恋の部屋を出る。それを待ってから、紫恋は立ち上がり、服を脱ぎ始める。
 う、金魚くさい……。
「……僕の、せいですよね」
 シーバリウは扉のすぐ外に座り、背を扉へと預ける。
「僕が、はっきりしなかったから」
「あんたははっきりしたじゃない。悪いのは私よ……あのとき」
 シーバリウがうめの肩に触れようとした時。
「あんたがうめのこと振るんだってわかった。それがわかった時……うめの泣きじゃくる顔が浮かんだ。そんな顔、どうしても見たくなかった。だから……やっちゃった」
「……」
「ずるいよね、私。あんたにはっきりしなさいって言っといて、こんなことするなんて……」
「そんな……ずるいのは僕です。結局、今日まで先延ばしにしてきたことがいけなかったんです。うめさんには今度、はっきりと言うことにします」
 フラッシュバック。
「あはは……そんなこと言われたら、また泣き顔が浮かんじゃった……ごめんね、こんなダメ女に付き合わせて」
「そんなことないですよ。言いましたよね、誰だって弱いところがあるんだって……それに、僕やうめさんや、紫恋さんも、そういう弱いところを守ってあげたい、って思ってくれるからこそ、弱くてもいいんだと思います」
「で、それを恋愛感情だと思うな、っていうのが今回の教訓ってわけね……」
「…………」
 と。
 下着だけになって、ネックレスの存在に気付く。